調査・研究リポート|スペース イチイチゴ(北海道札幌市)にみる同質者コミュニティ形成

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都市においては古くより同業者や同質な集団が一つの地域に集まりコミュニティを形成することは良く知られている。世界有数の都市・ニューヨークにおけるSOHOやハーレム、チャイニーズ・タウンなど職業集団や移民集団などのコミュニティ形成がその好例であろう。

その形成の原因は以下のようなものが考えられる。
・同業者や同質の集団ゆえに、最初に住み着いた(そこで仕事を始めた)ところに同じ集団の家族や友人が移転してきた
・同業者や同郷者どうしの情報交換がしやすい
・仕事の案件マッチングしやすい(同業者)
・仕事のリソースが手に入りやすい(工業関連同業者)
・監督官庁など政府や行政機関にアクセスがよい

またコミュニティ形成過程で以下のような要因も加わってよりその動きは加速する。
・同業者が集まることでクライアントや顧客などの集客できるようになる
・同郷者集団が集まることで観光地化して、飲食業などが集積する

日本においても同質の集団のコミュニティ形成は古くから行われてきた。
・中華街(横浜、神戸、長崎)
・(中華街とは区別する上で)チャイナタウン(池袋など)
・コリアタウン(新大久保、川崎、東上野、大阪生野、鶴橋など)
・オキナワタウン(川崎鶴見区・大阪大正区など)
・製靴業(神戸市長田区など)
・印刷製本業(千代田区、新宿区など)
・IT関連(渋谷区、京都市など)
・放送業(東京港区など)

現代においてもやはりこの動きは脈々と受け継がれている。今回は札幌市内でユニークなビルを発見した。「シャトールレーブ」という大変古いマンションである。外観は70-80年代に流行った南欧風デザインで当時は「おしゃれ」なマンションであったろうが、流行性の高いデザインが現在では完全に逆効果である。

場所は大通から地下鉄で2駅と少し中心街の外れになる。東京で言えば東中野とか代々木上原とか池尻大橋、大阪で言うと東三国とか中津とかの雰囲気であろう。そのような街の古マンションにクリエイターなどが集まって営業している。

2009年に手作りの石鹸を作る会社が移転してきてから次々に作家やクリエイター、高感度商品を扱う店、カフェなどが築30年超のマンションをリノベーションして店を開くようになったのだという。現在ではそれらが連携して一つのブランドを構築し、サイトを開設するまでになった。

たった1店の店がオープンすることでよく似たテイストの同業者を集めてコミュニティが形成される。そしてそれを目当てに顧客が集まる。そしてさらに同業者が集まり…、といったコミュニティ形成の過程のケーススタディとして非常に注目すべき物件であろう。

スペース イチイチゴ
〒060-0061
札幌市中央区南1条西15丁目1-319 シャトールレェーヴ

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